桜も青葉の季節になってきましたが、今日はそんな時期の伝説をご紹介します。
今から400年ほど前まで、裾花川は県庁の付近から昭和通りに沿うように東に向かって流れていました。
したがって中世まで、善光寺参りの旅人たちは、現在TOiGOなどがある新田町交差点のあたりで、裾花川にかかった橋を渡って善光寺に向かっていました。
平安時代の末、旅の途中の西行法師がこの橋を通りかかります。
川を見ると、上流から桜の花びらが流れてきました。
「平地では桜が散ってしまったが、山里ではまだ桜が咲いているらしい。善光寺参りをした後は戸隠へ行ってみたいが、そのあとはひとつこの川の上流へ行ってみることにしよう」
そこで西行法師は、一首の歌を詠んだといいます。
この奥に桜の里のあればこそ裾花川と人はいふなれ
もっとも、西行は実際には信州を訪れたことがないようですが、信州の各地では西行の伝説が史実のように語られています。
新田町交差点を通る際は、そこに川が流れ、橋がかかっていた時代に思いを馳せてみてください。
今回の伝説は、小林一郎『門前町伝説案内』(龍鳳書房)によりました。
このような、善光寺門前町に関する伝説が40話収録されていますので、ぜひ読んでみてください。