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本会と田辺聖子さん(2)

先日の、本会と田辺聖子さん(1)の続きです。


本会の初代会長・小林計一郎は田辺さんの『姥ざかり花の旅笠』に登場していますが、機関誌『長野』についても同書で触れられています。

姥ざかり花の旅笠

その部分を引用してご紹介します。


隔月発行の機関誌「長野」はすでに二百号を超えている。会員の研究も活潑だが、七、八十ページのこの本での圧巻は、古文書読解襴である。先生は〈郷土史はもっとも高尚な趣味〉と提唱され、〈自分の向上に役立つだけでなく、世のため人のためです〉といわれるが、こと古文書については、〈わずか百三十年ほど前の文章が読めない、などということは外国にはありません。五、六代前の人の書いたものすら読めない、というのでは郷土史研究は不可能です〉と主張される。先生のご指導のもとに、数多の熱心な会員が苦労して古文書と格闘している。私も古文書に弱いのでこの欄で勉強したいのだが、とても自信はない

(『姥ざかり花の旅笠 小田宅子の「東路日記」』2001年6月10日、158頁)



郷土史が〈世のため人のため〉というのは、小林計一郎が折に触れて口にしていた言葉。


小林計一郎が亡くなって久しいですが、このように田辺さんの文章の中で生き続けているのを見ると、嬉しい気持ちになりました。




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