善光寺本堂から自ら姿を消した仏様の話をご存じでしょうか。
天明3年(1783)、浅間山が大噴火を起こしたときのことです。
最大の噴火があった7月6日、一体の仏様が善光寺本堂から飛び出したかと思うと、一直線に浅間山の方に向かって飛び去って行きました。
人々は言いました。
「あれは浅間山の守り仏の虚空蔵菩薩だったに違いない。浅間山が心配でいてもたってもいられず、様子を見に行ってしまわれたのだろう」
それ以来、虚空蔵菩薩は二度とお戻りになりませんでした。
本堂の内陣と内々陣の間の欄間には二十五菩薩像がありますが、このとき以来、そのひとつの仏様の姿はなくなってしまいました。
今では、台座だけが残されています。
善光寺御参詣の際は、ぜひ注目してみてください。
今回の話は小林一郎・小林玲子『伝説の寺、善光寺』(光竜堂)によりました。
こういった不思議な伝説が写真や挿絵つきで28話入っていますので、読んでみてください。